医院&患者さんインタビュー

見えないリスクを共有することが予防のスタートです

なかやま歯科医院(神奈川県) 榎本悦子さん

神奈川県相模原市のなかやま歯科医院。「あなたの歯を一緒に守っていきます」というビジョンを掲げ、歯科衛生士が親身になって患者さんと向き合っています。歯科衛生士の榎本悦子さんにお話を伺いました。

  • 普段の生活の中に、
    歯を守るヒントがある

    初めて来院する患者さんには、必ずだ液検査を受けていただいています。カウンセリングの時間をしっかり取り、患者さん自身のことを詳しくお聞きします。患者さんの主訴はいろいろですが、だ液検査をとおしてリスクを見つけ、原因を一緒に考えていくんです。患者さんの状況がわからないと何も始められないですからね。
    カウンセリングルームはもちろん、メインテナンスをする部屋も個室なので、その後も患者さんが来院するたびに悩みなどをしっかりお聞きするようにしています。

    毎回のメインテナンスでは、プロフェッショナルケアよりコミュニケーションの時間のほうがずっと長いですね。
    大切にしているのは、歯以外のお話をたくさんすること。その人が普段どんな生活をしているかが見えてくるので、そこから取り組めることを見つけて一緒に対策を立てていきます

  • むし歯になる原因を知ることで、
    変化が起きる

    患者さんの中には、他の医院に通っていて何度もむし歯になったという方も多いですね。歯科医院への不信感が強い方には、それらを全部ぬぐえるだけの情報を与えたうえで、患者さんが納得するまで相談に応えます。

    小林万由美さんも、むし歯を繰り返してきた患者さんの一人。歯が弱いのは生まれつきだと思っていたようなので、「一度、むし歯になる原因をきちんと調べましょう」とお話しました。検査したところだ液量が少なかったので、「だ液が少ないことも、むし歯になりやすい原因のひとつですよ」と説明すると、「なるほど! 初めて知りました」と納得されていました。

    その後、甘いコーヒーを頻繁に飲むことや飴を食べること、小腹が空くたびに食べたり飲んだりしていることなどを振り返りながら一緒に対策を考えました。その結果、セルフケアも普段の生活も変わったんです。

    どんな方でも、だ液検査をして見えないリスクを共有することから予防がスタートします。小林さんも自分の弱点が見えたことで、みずからリスクをコントロールできるようになっています。

  • 問題ないと思っていたら、
    菌がいた!

    小林さんから「だ液検査って自分のことがわかるから面白いよ」と紹介されて来院したのが、成嶋奈奈さんです。

    成嶋さんは当初、「歯はまったく問題ないです」という感じでした。でも、だ液検査で、菌がいて磨き残しも多いことがわかりました。自分は大丈夫だと思っている方にご自身を振り返ってもらうのは難しいですが、検査結果をベースに話をすると理解しやすくなるようです。「このままだとまずいな」という反応をされていましたね。

    来院前、成嶋さんは〝歯医者は治療だけするところ〞というイメージを持っていたようです。でも、だ液検査で菌の存在を知り、予防することの大切さに気がつきました。そして、自分に合った予防の方法を考え、取り組むようになりました。この経験で歯医者のイメージも変わったそうです。

    なかやま歯科医院の理念は、親子や家族、友人みんなで予防してもらうことです。小林さんが成嶋さんに伝え、成嶋さんもまた誰かに……と予防がつながっていく。このつながりが私たちのような、地域密着型の予防歯科医院の役割であり、喜びなんです。

患者さんの声

  • 小林 万由美さん(自営業)

    リスクを下げるため、コーヒーは無糖にして、飴をやめて砂糖が入っていないガムを噛んでいます。自分の歯をずっと残していきたいですからね。今では家族ぐるみで医院にお世話になっているんですよ。榎本さんに何でも質問できるので安心なんです。

  • 成嶋 奈奈さん(会社経営)

    歯で苦労したことがなかったので、自分は大丈夫だと思っていました。でも、だ液検査を受けてみたら、そんなことはなかったです。「自分の口のことは自分で知らなくちゃいけないな」と思いました。自分のリスクと予防方法がわかったので、最期まで自分の歯を守っていきたいですね。

※記事中の年齢や臨床歴等は取材当時のものです。